鬼嶋ひなたの母（学生時代。旧姓は大倉）
有名高級ホテルのオーナーの娘で、超がつくほどのお嬢様。

ある日、お気に入りの洋食屋さんに向かう途中、ちょっと寄り道して盛大に道に迷ってしまう。辺りも暗くなり途方に暮れていると、陽平（ひなたの父）に呼び止められ、その場で一目惚れ。

「だって…あの顔で、頭に子犬を乗せてたのよ。可笑しいでしょ」母は言う。
その犬も迷い犬だったそうで、よく迷子に出会う日だと父は思ったそうな。

部屋で電話を貸してもらい、趣味の話などをして、迎えが来たところでその日は別れた。…が、翌日からみさとの猛アタックが始まる。

うちのホテルで働かないかと誘い、ここからの方が近いからと自宅の一室に住まわせる。挙句、陽平が料理にばかり熱中するので、私も料理人になってやりますわ！と言い放った。元々とことんやりきるタイプで、料理はめきめきと上達していったそうな。

「…情熱的ですね、母さん」
「振り向かせるのに10年かかったのよ。…若さね♪」